Kael Studies Homepage > このページ

 

カエルのケロケロレポート2001年7月×日
「お医者さんの秘密の集会」潜入レポレポ


さてさて。行ってまいりました。今回は、なんと小児科の神経がご専門のお医者さんばかりの懇話会に密かに潜入!カエルは勝手に「お医者さんの秘密の集会」と名付けました!その目的は、ボクらのスギケン、こと杉本健郎(すぎもとたてお)さんの講演なのでした〜。そして、森岡さんも来られるとの情報もゲット。これは行ってみるしかないでしょう。

しかしケロケロ・・・。今日はとてもとても蒸し暑いのです。蒸してるのはカエルとしてはいのですけど、あんまり暑いとひからびちゃうヨ〜、はやく会場のビルにたどり着きたいヨ〜なんて思ってましたら、お目当てのビルは降りた駅の目の前にそびえ立っていたのでした。なんて近いんでしょ。中に入ると、とってもきれいでいいかんじなオフィスビルってことがわかりました。とくにエレベータがいいかんじなのです。どのようにいいかんじだったかと申しますと、あのですね、ふつうエレベータホールにいる状態で、エレベータを待っていて、上階に行きたいときは、こんなボタン<↑>を押しますよね。でも、ここは違うんです。<↑>なんてボタンはないんです。その代わりに、いきなり行きたい階の数字を押しちゃうんです。エレベータホールにはこのビルのすべての階の数字が書かれたプレートがあって、利用者はじかに行きたい階の数字を押すんです。つまり、エレベータが来ていざ乗り込むと、もうすでに行きたい階のボタンがオンになって光っているわけなのです!これで、たとえエレベータが混んでいて、目的の階のボタンが押せずに奥に押しやられてしまったとしても「すいませーん、8階お願いしまーす」なんてお願いしなくてもいいわけですね。手間がはぶけるうー。あっ、でもこれって森岡さん風に言い換えれば、無痛文明そのものなんでしょうか。けろけろん。しかしカエルは、これぞ21世紀のエレベータだあ!なんて、大いに感動したりして。

集会が行なわれる会場には、すでに多数のお医者さんたちがいらっしゃってました。その数、最終的に50人くらいでしょうか。まずは、専門的な症例検討が2つ行なわれてました。うわ!こんな風景はじめて。なんだかとっても貴重な体験。面白ーい!

しかし、今日はこちらが目的なのですけろん。そうです、これなのです。
『杉本健郎が斬る「子どもの脳死」:今、なにが問題になっているのか』
司会のお医者さんに言わせると、 「うちの研究会としては『型破りなタイトル』」だそうで。しかし、型破りなのはタイトルだけじゃなかったのです。杉本さんが作成したレジュメもものすごく型破りなものだったのです!気合いが入っておりました! このまま「現代日本の脳死議論について」というタイトルで冊子として売れちゃえそうなほど。杉本さんの意見や体験記録はもちろん、現行法の抜粋、国民に対するアンケートの記録、森岡・杉本案全文、これまでの脳死臓器移植の全記録、小児脳死判定基準、竹内基準、米シューモン博士の論文、臓器待機患者数、渡航心臓移植者の詳細、デンマーク・スウェーデンの移植法資料・・・などなどなど、もりだくさんのレジュメなのです!すばらしいです、杉本さん。またもやボクは大いに感動したのでした。けれど、やはり今回の講演も例にもれず、時間が足りなかった〜。けれど、とっても濃密でしたよ。


以下、ボクのつたないスギケンさん発言のメモですけろ。

大脳が真っ黒に映し出されているCT(01/08/02カエル訂正) MRI画像のスライド。 学生に見せるといろいろな意見が出る。これはもう死んでいる、これは脳死状態だ、など。しかし、これは自発呼吸し、笑い、親と私の違いもわかる、という、我々がよくみている障害をもった子どもたち。大脳が機能しなくなって、もとに戻らない子どもに対し、父親は治療を拒否し、子どもは亡くなった。 米テキサス自然死法では、これは合法。「大脳そのものが破壊されてもとに戻らないなら、命をやめてしまってもいいのではないか」という通念。もしこれを日本で今やったら我々の患者さんは半分以上いなくなってしまう。

現行法は私から言わせると非常にロジカル。しかし、細かいことを言い出すと非常にファジー。議論はつめきれていないが、これがベストだと思う。いま私は現移植法はそのままおいておいて、子どもにも拡大させようという案を出している。私の息子も11歳になるが、「私はドナーカードをもちたい」とはっきり言っている。 資料によると、北米では虐待による子どもの脳死が多い。どうやったら、この子たちの人権を守れるのか。「虐待は虐待とわかっていても、ドナーとなるのはいいじゃないか。その後に、親の犯罪は親の犯罪として裁かれる」という割り切りをしている。

今年7月1日の脳死臓器移植のケースで、レシピエントは亡くなる直前に急遽、ネットワークに登録していた。これはおかしいとちゃう?という話がわきあがっている。遺言ならいいではないか、という自己決定を逆手にとっている。腎臓を待っている人が1万3070人いる。 10歳未満や10歳代の子どもがレシピエントになっている例がこれまでたくさんあった。移植を受けた後、どうなったかという状況はオープンではない。 臓器提供を受けたいという意思表示はレシピエントの子どもも、ドナーになる子どもと同じく可能にするべきではないか?親から「待っていた臓器が出たから手術しようね」と言われて、何もわからぬままに手術を受けたのではないか?これは親のエゴではないか。

息子が脳死になって、心停止後に腎臓提供に同意した。親としてそのようなことをしてよかったのだろうか。 担当医師は薬を減らした、当然尿もでなくなる、このままいくと心臓が止まる、医者の哲学を押しつけている。

シューモン氏がオフィシャルなところに発表されている。この人の書いていることは非常に共感を覚える。ここにいる人ならわかるかと思うが、急性期を過ぎれば、データはキレイに戻って、安定してくる。大脳が溶けてもそれ以外のところはずっと残るのではないかという議論がでてきている。そういう例も現にでてきている。医師に5、6歳までしか生きられないと言われた人でも、もう高等部まで行っている人がいる。ケアさえよければ何年でも生きるということ。このことなんです。「すぐに死んじゃうのだからやめておきましょう」と言えなくなってきている。この討論なんです。我々はどのようなフォローの体勢をとってゆくべきなのか。久留米での学会では40人中30人ほどが賛成派、10人ほどが慎重派。「日本は時間がかかる、医者の態勢が大変、医者の裁量でできないものか」と賛成派の先生が言えば、慎重派の先生から「それを作ったのは誰だったか。和田移植ではなかったか」という意見が出る。

急がなくても、親の気持ちを見ながら、きちっと別れの場をつくって、対応すべき。ノーリターン(不可逆的状態)になったら、治療をとめるか、とめないか、これは医学を超えた看取りの世界に入ってくる問題。医師だけではなく、医療チームを組んですべきことだろう。しかし、今の医療では経済的にそういう余裕はない。


以下、森岡発言のメモですけろ。

シューモンの調査では、4歳のときに脳死判定されて、心臓が動き続けているという。海外では死体であった。一般人が死体と考えるものと違った状態が10年も続いていた。維持されるという死は、どういうものなのか、という議論はつくされてきたのだろうか。

自分の子どもが1年間脳死状態が続いているという方から、大学に手紙をもらった。私の論文を読むまで「自分の子ども以外に1年も続く人がいるとは思わなかった」そうだ。この方は主治医から説明を受けていなかった。もっと長くこの状態が続くかもしれないと知ったときに「大きな希望がわいてきた」と書いていた。脳死状態になった子どもの親には、情報が渡っていない。この方にも与えられていなかった。患者家族に対する情報提供はどうなっているのか。 船橋の救急、去年の11月くらいまでは家族に1週間くらいしたら心臓はとまると説明していた。しかし、シューモンの論文を読んで、今年からそれを元にしたような説明を情報提供をするというようにしたそう。現場での情報提供。

『ヘイステイングスセンターリポート』7-8月号で私の論文が採用された。彼らも、日本の脳死移植法に大きな関心を示している。審査の段階で全レフェリーから文句があった箇所があった。植物状態の患者から、臓器をとってもいいかもしれないという米国の感覚について。日本ではそうではない、と書いたところ、「植物状態は快復しない。もしそのことを言いたいのならデータをつけろ」と言われた。そこで、1年以上植物状態があり、快復した例があるというデータをつけました。医学論文ではそういうデータがあるのに、米国の医師の中には植物状態は快復しないという通念が根強くあるのだな、ということ。私にとって不思議なことだ。


会場には「人の死を待つのは医療ではない、私の立場は脳死臓器移植に反対です」というお医者さんもいらっしゃいました。

その後、カエルはずうずうしくも、立食の懇親会にもおじゃまさせていただきました。てへへ。会場は、同じビルの下の階のお部屋を借り切って行なわれました。お寿司やら、唐揚げやら、お刺身やら、エビチリやら、なにやらおいしそう・・・。ゴックン!しかし、ここはひとつ、やはりまずはメロンでしょう。メロンをつまみにビールをゴクリ。最高っす〜。果物が充実していると、こころも満たされてくるものです。けろけろ。極楽、極楽・・・と思うや否や、左にも右にも小児科のお医者さんがわんさかいらっしゃるというすごい機会にハタと気付いて、脳死についていろいろ質問するチャンス!と我に返ったボクでした。

まず、はじめにボクの幼稚な疑問に答えてくださったみなさま、どうもありがとうございました!

Q:ボク「ここにいらっしゃるお医者さんは、脳死状態になった方を、みなさん診察なさったことがあるのでしょうか」
A: ドクター「ここにおられる方はほとんど診られているだろうと思います」
・・・ なるほど、素人はまったく知らない世界なのだけれど、ほとんどのお医者さんは脳死を目の前でみているわけなのですね。 あ、でもここに来ているお医者さんはみんな神経が専門の人たちばかりだった。当然か・・・。てへ。

また、あるドクターはこんなことをおっしゃってました。数年前にインフルエンザ脳炎が原因であるお子さんが脳死を経て亡くなられた。が、その方の母親はドクターがある講習会で教えたことがあったナースの方だったそうです。お子さんを亡くされたナースの方は当然とても動揺し悲しんでおられた。ドクターは柳田さんの著書『サクリファイス』を彼女に薦める、彼女はとても共感していたそうです。そして今では、インフルエンザ脳炎で子どもを失ったり障害をおった家族の会に入っておられているという。・・・なるほど、ご自分が教えたことのあるかなり身近な人の子どもが脳死になったのを診たわけなのですね。神経が専門のドクターはつらいですね。ううう。

Q:ボク「昔は測定する機械がなかったのだから、今のほうが昔より脳死と診断することは多いのですか」
A:ドクター「いや、むしろ昔より今のほうが脳死とははっきり言えない状態が多いです。昔は、ある程度医師の勘でやっていたのが、いまは機械によってより精密にデータがとれるようになったため、簡単に脳死だとは言えない。昔はそれこそ笑い話ではなく、ご臨終ですと言ったあとに死んだはずの人が起きあがることがないことはなかった」 ・・・なるほど、素人のボクが考えると、機械が精密になったおかげで脳死判定が出来やすくなったから、当然脳死と判断する回数が増えたと思ってましたが、現状は全く正反対なわけですね。

Q:ボク「渡航移植者数や、腎臓待機患者数を見ると圧倒的に男性の方が多い。男性は女性よりも病気になりやすいということなのでしょうか」
この質問は2人のドクターにお聞きしたのですが、どうやらこれは医学的によくわからないことのようです。 が、もちろんいくつかの考え方はあるそうです。女性がXXに対して、男性はXYという遺伝子の欠陥(?)という説、免疫の問題説など。ひとりのドクターも昔、ご自分もそのことに大いに疑問に思って、先輩ドクターに尋ねたことがあったそう。ってことは、これって意外と良い質問だったのかも・・・フフフ、な〜んて悦に入ったカエルでした。

しかし、杉本さんの講演は何度聴いても面白いです。関西のノリである杉本さんはしゃべりが本当にお上手です。それでなくても、杉本さんには聴衆をぐいぐい引き付けるものすごいパワーが存在します。これは、この目でしっかり観察したボクが言うのですから間違いないです。断言しちゃうぞケロン。

「お医者さんの秘密の集会」は異世界だったので、とってもとってもわくわくどきどきなのでした。けれど、それ以上に、本当に面白かったあ。やっぱり、参加されてるお医者さんがどなたも熱心だったもん。そんな会に潜入できたボクはとってもラッキー。マジで面白いっす。どんなテレビドラマより!そしてどんな映画より!あまりに貴重な体験をしすぎてしまったボク。

「もうこうなったら、現実世界に戻ってしまおう。もう、虚構のネットの世界には戻れないよおー」というのはウソです。しっかりレポレポしましたよ。ということで、ノイズだらけでちゃんとしたレポートになっていないと悪評高いカエルレポも、今回はこれでおしまい。次はどこに出没するかな〜。けろろーん。

 

・おまけ・
杉本健郎さん・小松美彦さん・浜辺祐一さんフリークの皆様、お待たせいたしました。新たなナイスミドル情報です(笑)!な〜んて勝手に盛り上がっているカエル。 以前、このおまけのコーナーで小松美彦さんをダンディなおじさまとご紹介しましたが、今回のこの秘密の集会にも上記のみなさんに負けず劣らずなダンディなおじさまをお見かけしましたよ。しかし、お名前はわからないのですが・・・(笑)。果たしてあの方はど・な・た?煽っておきつつ、詳しい情報提供ができなくてごめんなさいー。てへっ。

 

Kael Studies Homepageへ戻る