Ellis in Wonderland
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海の見える街にたたずむ少女物語

 
エリス、海の見える街に行ったの。前にも来たことのある、この水辺。もう夕暮れが近くて、波止場には夜のクルージング・ボートを待つカップルと、ねぐらに飛び立つ前の鳥たちしかいなかったわ。遠くに見えるのは、海上のラピュタ。飛行石はもう海の底に眠ってしまったから、パズーとシータは安心していいのよ。


 

エリスの物憂げな内面まできっちりと印画紙に写し取られてる。こころの内側のかすかな襞までとらえきるのが、ほんとうの意味での写真。エリスの美しさは、内面の美しさの、たんなる現われにすぎないわ。想像力の限界が、存在の限界を形作るの。パステル色の追憶から、ほら、エリスはこうやって飛翔していく。



 
 

ほら、エリスの足元にUFOが来たわ。エリス、これに乗っちゃう。浮かんで、浮かんでいって、遠いお空の向こうまで駆けてくの。右にかたむいて、ふんわり、左にかしいで、とろーり。エリスの頭のなかで、水色の水平線がまんまるの水玉になるの。風が、きもちいい。水滴が、かわいい。まぶたが、すきとおってる。水の中に、氷が泳いでる。エリスは、空気の水層の中をゆったりと泳ぎながら、帽子ぴょんとUFOにゃんに、むしゃむしゃって、おいしそうに食べられちゃうの。
 


 

 

ここは、地中海に面したふるい港町なの。エリスはいまから遠い旅に出かけるわ。もう何ヶ月も地上に降りれないかもしれない。もう二度と戻ってこれないかもしれない。でも、エリスは、歩み始めるの。エリスは、わかってる。この自分の存在しか、ほんとうに頼れるものがないってことを。いくら美しくても、いくらかわいくっても、そんなもの、なんの役にも立たない。インコは、そこに自信をもって存在しているその姿そのものが、インコなのよ。じゃあね、またどこかで。最後の記念写真になるのかしら。ファッションショーのモデルしてたときの名残が見えるわね。エリスは、いまから、映画の世界に旅立ってきます。開始シーンから音楽が鳴り響く、ふるいヨーロッパ映画の世界。エリスは、船に乗って、誰も知らない秘密の使命を遂行してくるの。

月が、地球が、そして太陽系がなくなったとしても、インコさえいれば、みんなの記憶は永遠にこの宇宙の中に残されるんだわ。

 

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