Ellis in Wonderland


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イチゴちゃんのおてんば物語



だあれもいない砂浜に、小鳥の形の木片が流れ着いたわ。流木には、奇獣の好きそうな海草が、やけにおいしそうにからまっている。お隣に寝転がってるのは、地霊がもぐずりこんでる仏像ね。そして、向こう側には、幾重にも貝の気を吐くふわふわの蜃気楼がむせかえっているわ。 どこかに、いたずらするものないかしら?私、夜景を見ながら血の滴る子牛を食べたり、蛍を見ながら炭で地鶏焼いたりするの、もう飽きちゃった。そうね、用事もないのに浜辺をうろうろするのは、エリスに残された、とってもかわいい悪癖なの。


エイって、蹴り上げて、願い事したわ。「子ガメさんを無事にみんな海へ帰して!」とか、「砂粒さんをみんなサクラ貝にして!」とか、「おしぼりを出されてもけっして顔を拭かないで!」とか。でも、叶いっこないのわかっているの。だって、私、願い事を叶えたいっていう願い事、一度も願ったことないもの。


たったいま、無限に半円発作発令中。火星大接近の6万年ぶりの軌跡を、あんよでおさらいしているの。かわいい砂粒たちも、ざわめくわけよね。エリスの美しいあんよが超接近なんだもの。私がくしゃみをするたびに、砂粒さんたら、丘に上がった火星人みたいに生真面目に答えているよ。これぞ、久しく忘れられていた、聖なるきゅきゅたん宇宙からの宣戦布告ね。誰に知られることもなく、この微少領域にマーズ・アタック! 海さんだけがそっと聞き耳を立ててるわ。かくして、やけに能動的に議論する砂粒たちに、私は「聞こえるようにもっと大きい声で言ってちょうだい!」ってまくしたてるのよ。

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