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| インコブルーの解禁日 |
インコのお羽根から抽出したインコブルーの絵の具はすごく貴重よ。今日はその解禁日!絵筆の先にちょっぴりつけたら、お水に溶いて、頭上いっぱいに広がる空気に豪快に塗りつけるの。そうするとほら不思議ね。南の島のピンクしゃんと、できたてのビル群が、いっそう際立って見えるでしょ。エリスはまるで新種のピンクの怪鳥に見えるし、ビル群はまるで脳に直結されたインターフェイスに見えるよね。絵画技法の基本といわれる遠近法だけど、その技法はインコ絵の具の効果抜きにしてはありえないのよ。観察力はあるのに、絵はイマイチな画家さんは、いますぐお取り寄せして、このインコ絵の具を使ってみてね。
ここは夏のエリスのサマーパレスよ。この島には蚊が一匹もいないから、エリスは薄着のまま安心してショッピングしたり、熱帯魚に餌づけしたりできるの。でも要注意なのは、赤い光線を放つ大きいてんとうさん!日本でお留守番してるてんとうさんは人々の夢をぽりぽりかじるのが好きなすごく控えめな虫さんだけど、ここのてんとうさんは照らし出すものの影をぱくぱく食べちゃう大食漢!特に今日は、灼熱のてんとうさんが島の真上をちょうど通過する日だから覚悟しておかないと大変だよ。虫さされのストレス指数がゼロなのはいいけど、天の端から端までゆっくり羽ばたく真昼のてんとうさんには要注意。あと数時間経てば、影という影はこの地上から完全になくなります。とっても残酷な天使って、このてんとうさんのことだよね。

残酷だけれども、てんとうさんの働きは実にすごいわ。インコブルーをひときわ深めて、ここにアロハな教会を突如出現させてみせるんだから。人はここで影を失い、脳をインコに接続することによって、天空と大地の二重国籍を取得するんだわ。心の声は懺悔となって星の砂に変わっていくし、悲しみは海草に巻き付いて海の底でねんねする。エリスの日常は、電脳の海にぷかりぷかりと努めて浮かんでいること。だから、時には環太平洋を泳ぎ切ったところで、インコ絵の具塗り込み型の臨床実験をしてるの。インコはお空一杯に大きく広がって、お空一面にうじゃうじゃ飛び回って、ぎゃーぴーぎゃーぴー鳴いてうるさいわけだし、それだけではなくて、ぎらぎら燃えるてんとうをその生意気なくちばしで威嚇したり、肉食恐竜の顔をして何度も何度も怒ってみせるの。実験を終えたエリス博士は、インコを肩に乗せて、たくさんの魚に囲まれてご満悦。これがいま進行中の、世紀のインコ実験の全貌なのです。