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お姉さんのエリス
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雨、憂鬱な気分。わたしの気分みたい。インコの羽根はしめっちゃった。あ、そとに綿帽子が舞ってる。春なのね。たまごから赤ちゃんインコが生まれるよ。
エリスのからだのなかにピンク色のさざ波がおきるの。エリス、どうしたの? なにをおびえているの? なにかへん。エリスの世界でなにかが変わってきている。赤ちゃんインコは、どこへ行ったの? ちょっと目を離したすきに、知らないところまで行ってしまったんじゃないかしら。
雨の中をドライブしたい。インコの赤ちゃんの殻を肩にのせて、明け方の幹線道路を、赤い車で夜をぶっとばせ。車をシスチーナ礼拝堂に横付けするの。天井から観光客を見下ろすミケランジェロの絵の聖母みたいに、エリスは、微笑む。
からだの表面に、さざ波がたつの。エリスのからだは、だんだんお人形さんみたいになっていく。むかしもってた、ジェニー。大切に、大切に髪をとかしてあげた、わたしの宝物。わたしも、お人形さん。ピンクの包装紙に包まれて、けっして来ないとわかっているただひとりの人を永遠に待ち続ける、髪の長いセルロイドのお人形さん。
「光は、どこから来るの?」
「(無言)」
「君の手は、なんのために?」
「(無言)」
「君は、もうこうやって千年も待ち続けてきたのかい?」
「(涙)」