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湖の色は空の色
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エリス、とうとう来たわよ。この空気、この風。夏の高原。てんとう虫の真っ赤な車に乗って、遠い遠い湖までドライブ。道はエリスの行く先を知ってるみたいよ。だって途中、霧がうっすらおりてきてもやさしくその先を照らしてくれたもの。車をかっこよく駐車して、湖のほとりに降りてみたの。波が打ち寄せていて、まるで海みたいだったわ。生命のスープ。エリスは、ボート乗り場のうえで、大きく深呼吸。そう、こうやって、空と水の透き通ったほんとうのたべものをからだのなかにいっぱい吸い込むの。きれいなつぶつぶは、エリスのなかを駆け回って、血管のすみずみまで散らばってゆくわ。
今日のインコカメラの調子はどうかしら。エリスには、おひさまの光が強すぎるのよ。すべてを見透かされた無防備なこころは、闇を欲しがっているの。カメラをのぞき込んでいるエリスにはその一瞬一瞬が映画のように見えたわ。青と黄色が迫ってくれば来るほど、エリスは雲に逃げたくなるの。でも、エリスはハイヒール。逃げたくてもこれじゃつまずいてしまうわ。でも、湖に投げ捨てることもできないのよ。だから、エリスはカメラに向かって微笑むことしかできないの。切り取られた絵は、あなたの網膜の奥深くへと閉じこめられる。いったいどんな物語がはじまるのかしら?
さあて、最後は、コンパクトカメラでセルフポートレイトを撮るエリス。髪が風になびいていい気持ち。あ、ファミレスで、パフェが食べたくなっちゃった。はい、撮影会はこれで終了ね。チョコレート、バナナ、パイナップル。頭のなかは、ぴうぴうちゃん。たくさんの色彩のなかで青のギンガムチェックだけが光っていたわ。思ったとおり、湖には、ブルーと白のミニスカートがばっちしね。湖の龍神ぴょんも、エリスのことをやさしい目で眺めていたにちがいないわ。