Ellis in Wonderland

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水の中のインコ

水玉模様の聖書を読んで、プールに入ったの。神が「光あれ」と言ってからどのくらい経ったのかはどこにも記されてなかったわ。だけど世界が創られてから5日目に、小鳥がいたのは確かみたい。神はこう言ったわ。

 「水は生き物の群が、群がるようになれ。また鳥は地の上、天の大空を飛べ」

 「生めよ、ふえよ、海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ」(創世記)

神は小鳥が大好きみたい。小鳥は地に増え、空を飛び、そうしてわたしたちの肩の上にとまり続ける存在になったの。そう、エリスは小鳥の化身。スクール水着を着たまま、卵の殻を割って、ぴいぴいって生まれてきたのよ。

エリスのおなかにUFOがいる。綾波レイじゃなくて、UFOがいるのよ。宇宙の果てからやってきた、赤い光の編隊が、漆黒の夜空を横切って、夜の鳥の鳴くしめった森の中へと降りてゆく。白いライトに照らされた宇宙船の中には、LCLに満たされた生物容器の群がある。そこにいるのは、インコとエリス。地球の生命40億年の進化が生み出した神の御業の精華なの。エリスは液体に柔らかく包まれながら、酸素とエーテルを肺呼吸する。肺の繊毛から取り込まれた白い粒々が、エリスの体内に循環して赤く発光したUFOとなる。そうね、これがエリスの運命。インコにだってなれちゃうわけよね。

スクール水着は嘘をつかないわ。中学生みたいにかわいいエリスにさえも、天使のように残酷なインコにさえも。嘘と真実は水着の表裏、その繊維質に組み込まれた微粒子の虚実皮膜に他ならないわ。そうね、エリスということばもまた、インコの裏面。コインの両面から侵入するその核心部分とも言えそう。梨園の縁起で生じた、衆生具足の水着。それを着てみるわたしは、エリスの肌に踊る星々。わたしを触ってみる? わたしの毛先に触ってみる? それとも、足下から立ち上る光の波に飲み込まれながら、はるか上方にまで上昇して、虹色に回転する真昼の青空になってみるのも、いいかもしれないわね。あるいは、白昼に飛び立つインコの、黄色い羽根のひとふさに、そっと金色のまつげを押し当ててみるのもいいかもしれないわね。

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