Ellis in Wonderland


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スイスイスイミー

今年も夏が終わってゆくのね。だから今日はおさかな気分のエリスなの。おひさまから逃げるために、エリスはホテルを予約したわ。高層の窓からの光はとても痛い。でも、かわいいピイちゃんの髪に、なにか妖精のような宝石がとまっている。宝石の結晶格子の内部はきらきらの真空で、そのあいだを小さなあぶくの群れがかろやかに楽しそうに跳ねていくわ。そう、エリスはこの事実だけを反復して、これからも生きていけるような気がするの。
 

時には少女の気分だったりするけれど、夢は現実の中なのね。夢は役にも立たない空想を父とし、何もしない頭脳を母として、生まれ出てくる子ども。その実体は空気のように掴みどころがないのね。どこからか羽毛が飛んでくるのに、どうして飛ぶのかはわからないの。人間のレム睡眠は全睡眠量の20パーセント以上。でも、鳥達のレム睡眠はたった数パーセント。エリスは鳥達の夢を見ているのに、鳥達は夢を見ないのかしら。機械仕掛けのオレンジをついばむ、無色の小鳥。時計からでてくるのは、歌を忘れたあわれな小鳩。いつか火の鳥がすべてのものを破壊したとしても、エリスは、危うい美しさを放つ泉がそこにあることをいつも願っているの。

これからプールに行くわ。考えることは泳ぐこと。泳ぐことは見つめること。見つめることは、インコの羽毛にそっと頬を近づけること。皮膜にやさしさを感じながら、エリスは水に帰るの。フィッシュマンズの音楽が秋を知らせているわ。夏休みはもう終わり。ドルフィンソングも聞こえない。髪飾りをはずして、さぁ、スイスイスイミー。

 

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